就労継続支援A型の譲渡では、福祉サービスの運営に加え、利用者との雇用関係と生産活動を確認します。給付費を含む法人全体の黒字だけで、生産活動の収支や賃金支払が安定しているとは判断できません。
ここでは利用者の労働条件、生産活動の契約と原価、経営改善計画を別々に照合する方法を整理します。取引方式に応じた雇用の手続きや指定・報酬の取扱いは、労務の専門家と指定権者へ個別に確認してください。
雇用契約と実際の勤務・賃金をつなぐ
雇用契約、労働条件通知、賃金台帳、勤怠、就業規則、休暇・社会保険の資料を用意します。利用者ごとの労働時間や勤務場所、支援上の配慮と、雇用条件が実際の運用に合っているかを確かめます。賃金や労働時間の適用条件は地域・時期を含め最新の取扱いを照合します。
事業譲渡で労働契約の承継を検討する場合は、本人への説明・意思確認と必要な手続きを先に計画します。株式譲渡でも勤務場所・条件の変更や管理者交代があれば説明課題は残ります。利用契約上の支援と雇用契約上の関係を一つの同意書だけで済ませないことが大切です。
生産活動と福祉会計を分けて読む
表は横にスクロールできます。
| 区分 | 資料 | 確認する論点 |
|---|---|---|
| 利用者の雇用 | 雇用・勤怠・賃金記録 | 条件と実績、未払い等の照会、説明担当 |
| 生産活動収入 | 受注契約、納品・売上記録 | 継続契約、関連先への依存、検収条件 |
| 生産活動費用 | 原価・経費明細、賃金総額 | 給付費と混在せず区分・配賦根拠を確認 |
| 経営改善 | 提出計画、実績、行政との協議 | 未達項目、期限、買い手が担う改善費用 |
厚生労働省のA型の生産活動に関する資料では、生産活動の収支と利用者賃金の関係が確認対象です。買い手は受注増の希望だけを改善の根拠にせず、現在の契約・作業能力・費用に基づいて見通しを説明します。個別の基準適合は最新資料と指定権者へ確認します。
受注が代表者交代後も続くかを確認する
取引先の売上集中、契約期間、単価改定、解約、作業場所の提供条件を一覧にします。代表者と関係がある取引先や関連会社からの受注は、交代後も同条件で続くかを確かめてください。継続が未確認の売上は、確約された受注と区分します。
作業ごとの必要支援、納期、品質検査、不良・返品、設備更新も照合します。支援職員が減ると生産量や品質が変わる可能性があるため、人件費削減と同じ売上維持を同時に当然の前提にしません。利用者の希望や安全に合った作業の継続を中心に検討します。
改善計画と雇用説明を承継工程に入れる
経営改善計画を提出している場合は、現状、進捗、未達理由、次の報告期限を買い手と共有します。買い手の資金力や取引網があっても、計画や行政対応が自動的に終了するわけではありません。誰が資料を作り、実績を追い、所管へ説明するかを明確にします。
承継初月は勤怠・賃金支払、作業受注、支援記録と請求の担当を固定し、旧担当の確認期間を設けます。雇用条件や作業の変更は本人への説明と必要な手続きを経て実施し、成約前の約束と現場の運用が違わないか点検します。
よくある質問
Q. 法人全体が黒字なら生産活動収支の確認は不要ですか。
A. 不要にはなりません。福祉サービスと生産活動を区分し、賃金・経費・受注の根拠を照合します。
Q. 買い手の取引先から受注できる予定を価格へ入れられますか。
A. 検討できますが、確定契約・見込み・検討段階を分けます。単価、継続期間、必要支援と作業費用を示して評価してください。
制度・手続きの確認資料
制度資料の確認日:2026年10月5日。以下は所管機関の公表資料です。個別事業所の適用、必要書類、受付日程は所在地の指定権者等へ照合してください。
編集責任:障害福祉M&A総合センター編集部(運営:株式会社M&A Do)。本記事は承継時の確認手順を整理した一般的な解説です。
譲渡相談では、A型の雇用条件、生産活動の収支と経営改善の未完了事項を整理できます。支援内容・費用の範囲は当センターの案内でご確認ください。
