障害福祉事業の企業価値を考える際は、過去に加算を請求していたことと、承継後にも同じ条件で算定できることを分けます。人員、支援実績、研修・委員会、計画や記録、届出時期が変われば、収益見込みの前提も変わり得ます。
確認する対象は加算だけではありません。減算の適用、過去の調整や返還に関する照会も別欄に残し、営業利益をどの条件で再現できるかを買い手へ示します。算定可否や返還額を推定だけで確定しない手順を整理します。
サービス別・適用期間別に加算を並べる
事業所番号とサービス種別ごとに、届出した加算、受理・適用の時期、請求した月を一覧化します。請求ソフトの設定だけでは算定要件を証明できないため、各加算について必要な人員、実績、記録と担当者を対応付けます。古い届出一覧に現在停止した加算が残っていないかも確認します。
2026年10月時点では令和8年度の報酬改定資料・Q&Aを参照し、過年度の単価や区分をそのまま将来の計画に使わないようにします。改定後の取扱いや実績の通算はサービス・取引方式により確認事項が異なるため、所在地の指定権者等へ前提を伝えて照合してください。
将来収益を三つの状態へ分ける
表は横にスクロールできます。
| 状態 | 残す根拠 | 評価の考え方 |
|---|---|---|
| 継続確認ができた | 最新届出、算定根拠、承継後の担当と体制 | 確認した期間・条件を収益計画へ明記 |
| 条件の確認中 | 退職予定、実績の通算、届出変更の照会 | 算定する場合としない場合を分けて試算 |
| 減算・調整の確認中 | 該当期間、指摘文書、改善・請求調整記録 | 確定額と未確定の負担を分ける |
『継続見込み』と書く場合も、その根拠と未完了の作業を添えます。例えば職員配置に依存する加算は、現在の資格証・勤務実績に加え、本人の継続意向と買い手の配置案まで確認しなければ、過去の収益が再現できるとは言い切れません。
加算の増収と維持費用を同時に見る
加算による収入増があっても、必要な人員や研修、記録管理の費用が増える場合があります。買い手の運営計画では、加算の収入だけを上乗せせず、その条件を保つ費用と作業時間を確認します。支援品質を落とした費用削減で同じ報酬を維持できるという前提は置きません。
処遇改善に関係する収入と賃金改善・実績報告は、通常の自由に使える利益と同じ説明にしないようにします。対象期間の計画、配分、給与・実績報告の関係を整理し、承継後の作業担当と資金の扱いを確認します。個別の計上・精算は経理や労務の専門家と照合してください。
未確認事項を承継条件と初月点検へ残す
加算届や体制変更を誰がいつ提出し、誰が受理・適用時期を確認するかを決めます。売り手の担当者が退職するなら、算定根拠ファイルと請求ソフトの設定を買い手の担当者が説明できるところまで引き継ぎます。過去の未解決照会は閉じた案件と混ぜず、期限と窓口を記録します。
初月には予定した加算と実際の支援・人員・請求を照合します。値付けで使った収益前提が崩れたときの再試算や調査範囲を事前に決めておけば、単純な利益倍率では捉えられない運営条件を、交渉の中で具体的に扱えます。
よくある質問
Q. 加算の届出控えがあれば算定は確認済みですか。
A. 届出だけでは足りません。該当月の人員・支援実績・記録などの要件と請求を対応付け、変更後の取扱いも確認します。
Q. 未確認の加算は企業価値から除外すべきですか。
A. 一律ではありません。継続できる条件と必要費用、確認期限を示し、確認前後の収益計画を分けて検討します。
制度・手続きの確認資料
制度資料の確認日:2026年10月5日。以下は所管機関の公表資料です。個別事業所の適用、必要書類、受付日程は所在地の指定権者等へ照合してください。
編集責任:障害福祉M&A総合センター編集部(運営:株式会社M&A Do)。本記事は承継時の確認手順を整理した一般的な解説です。
譲渡相談では、加算・減算の未確認条件と、将来収益へ反映する前提を整理できます。支援内容・費用の範囲は当センターの案内でご確認ください。
