就労継続支援B型のM&Aでは、福祉サービスの収入と、生産活動の収入・費用、利用者への工賃を分けて説明します。売上が同じでも、受注が特定の代表者に依存する事業所と、継続契約・作業手順が残る事業所では、買い手が引き継ぐ条件が異なります。
高い工賃や利用人数だけで企業価値が決まるものではありません。算定区分の根拠、利用者の支援ニーズ、担当職員、作業と取引の継続性を、月次資料に結び付ける方法を整理します。
報酬区分と利用実績の基準日を合わせる
指定・体制届、報酬区分の算定資料、日別の利用・提供実績、請求・入金をサービス月別に並べます。登録人数だけを売上の根拠にせず、実際の利用日数、休止・退所、新規利用の見込みを区別します。将来の利用予定は確定実績と分けてください。
令和8年度の報酬改定資料にはB型の基本報酬区分に関する届出等が含まれます。買い手の試算では過年度と現行の条件を混在させず、取引方式や事業所の変更による適用・実績通算の取扱いを指定権者へ照会します。本記事で特定の単価や算定区分を保証するものではありません。
生産活動の持続性を資料で説明する
表は横にスクロールできます。
| 対象 | 資料 | 継続性の確認 |
|---|---|---|
| 福祉サービス収入 | 提供・請求・入金、区分の根拠 | 現行条件での収入と変動要因 |
| 生産活動 | 受注契約、原価・販売記録、在庫 | 受注の集中、赤字作業、契約変更 |
| 工賃 | 工賃規程、支払記録、算定資料 | 実績の整合性と説明・支払手順 |
| 支援体制 | 計画、作業手順、職員配置 | 利用者ごとの配慮と担当の継続 |
取引先別の売上だけでなく、納期、検収、品質条件、作業負担を確認します。代表者の個人的な紹介で継続している受注は、契約上の承継条件や窓口変更を確かめます。作業設備や材料の購入先が変わる場合も、原価と提供できる作業の内容を再点検します。
利益の再現性を人と作業から検討する
職員が毎回支援して成立する作業と、利用者が安定して取り組める作業を分け、必要な支援時間と設備を整理します。原価削減や受注増の計画は、利用者の体調、希望、支援計画と両立するかを確認します。作業量だけを増やせば同じ費用で利益が増えるとは限りません。
単発の補助金、臨時の大口受注、代表者の無償作業などは通常の収益と区分します。買い手は追加採用や設備更新の費用も含めて、過去の損益を承継後の運営へ置き換えます。利益倍率だけの価格断定を避け、根拠がある実績と期待する改善を別々に提示してください。
利用者への説明と受注先の切替を同じ工程へ
利用者・家族には作業内容、工賃の決定・支払、職員、相談窓口の変更点を整理して説明します。受注先には必要な契約・窓口・納品先の変更を確認します。法人情報だけを引き継ぎ、現場の作業や検収のルールが伝わらない事態を避けます。
初月の担当は工賃計算、受注・在庫、請求、支援計画に分けて決めます。計算の照合日と新担当が確認する帳票を工程表へ残せば、支援を止めずに収益の前提を検証しやすくなります。必要な制度手続きは所在地の窓口へ確認してください。
よくある質問
Q. 平均工賃が高ければ売却価格も高くなりますか。
A. それだけでは決まりません。報酬条件、利用実績、作業収支、取引先と人員の継続、設備更新費用を合わせて検討します。
Q. 受注先との口約束だけでも開示できますか。
A. 口頭の内容と実績を整理して共有できますが、継続が確約された契約とは区別します。窓口変更や承継条件を確認してください。
制度・手続きの確認資料
制度資料の確認日:2026年10月5日。以下は所管機関の公表資料です。個別事業所の適用、必要書類、受付日程は所在地の指定権者等へ照合してください。
編集責任:障害福祉M&A総合センター編集部(運営:株式会社M&A Do)。本記事は承継時の確認手順を整理した一般的な解説です。
譲渡相談では、B型の報酬区分・工賃・受注を結ぶ資料と承継後の担当を整理できます。支援内容・費用の範囲は当センターの案内でご確認ください。
