障害者グループホームの承継調査では、事業所全体の売上に加え、住居ごとの運営条件を確認します。定員や利用状況が同じでも、夜間の支援方法、職員の配置、建物の契約条件や設備により、買い手が引き継ぐ業務と費用は異なります。
共同生活援助のサービス類型と実際の支援体制を先に整理し、全住居に同じチェック項目を機械的に当てはめないことが大切です。本記事は支援・物件・地域連携を一つの承継表にまとめる実務を案内します。
住居別の稼働と夜間の対応を確認する
指定・届出資料と住居一覧を照合し、定員、入居状況、退去・入居予定、支援区分、職員の担当を整理します。候補先への初期開示は匿名集計とし、利用者個人の情報は必要性と権限を確認した範囲で扱います。将来の満室を約束する資料にはしません。
夜間支援は、職員の勤務実績、連絡・応援体制、事故時の対応記録まで確認します。夜勤・宿直・オンコールを同じものとして扱わず、該当類型の基準と届出条件に照合してください。担当者の退職や外部委託終了があるなら、承継日からの実行可能な体制と費用を別に見積もります。
物件ごとの引継ぎ可否を台帳へ残す
表は横にスクロールできます。
| 論点 | 確認資料 | 買い手が確認する条件 |
|---|---|---|
| 賃貸借 | 契約書、更新・解約条件、賃貸人との協議記録 | 契約主体変更、承諾、保証金・保証の扱い |
| 消防・建物 | 点検・是正記録、図面、関係窓口の回答 | 用途や運営変更時の確認、未完了の是正 |
| 修繕・設備 | 修繕履歴、設備一覧、見積り | 承継前後の費用分担と使用停止の影響 |
| 夜間の継続 | 勤務表、緊急連絡、委託契約 | 必要配置と実際の応援・代替手段 |
物件契約を法人の株式と一緒に譲る場合でも、変更通知や契約上の条件の確認は必要です。事業譲渡の場合を含め、賃貸人の承諾や消防等への照会が必要かは個別契約・建物・変更内容に基づいて確かめます。契約書が見つからない住居は、確認済みの物件と区分してください。
地域連携と生活の変化を説明できるか
地域連携推進会議について、委員、開催記録、住居訪問、出された意見と対応の経過を整理します。厚生労働省が公表する手引きも確認し、会議の開催だけでなく、利用者の生活や地域との関係にどのように反映したかを引き継ぎます。
利用者・家族への説明では、運営主体、職員、食事・支援方針、費用、相談窓口など、変わる点と検討中の点を具体的に示します。単に『何も変わらない』と約束してから買い手の運営方針を変えることは避け、日常生活への影響を確認する担当を決めます。
引継ぎ条件を住居別の初月点検につなぐ
契約・設備の未確認事項、職員の継続意向、支援上の配慮を住居ごとに集め、指定権者、賃貸人、消防等への確認担当と期限を付けます。未確定の承諾を得られる前提で承継日を固定するのではなく、確認結果に応じた工程を検討します。
承継後は入居状況、夜間体制、事故・苦情、修繕作業を初月点検に残します。支援の連続性と物件の使用条件がそろって初めて、過去の稼働・収益を将来計画へつなげられます。支援体制の削減だけを利益改善として先に置かないことが重要です。
よくある質問
Q. 賃貸借契約はM&Aなら自動的に引き継げますか。
A. 取引方式と契約条件によります。契約主体の変更、承諾、保証・通知条項を個別に確認し、賃貸人や専門家へ照合します。
Q. 住居が複数あるとき最初に何を作りますか。
A. 住居別の指定・定員・稼働・夜間体制・契約期限・未完了修繕を並べる台帳です。全体平均で見えない継続条件を整理できます。
制度・手続きの確認資料
制度資料の確認日:2026年10月5日。以下は所管機関の公表資料です。個別事業所の適用、必要書類、受付日程は所在地の指定権者等へ照合してください。
編集責任:障害福祉M&A総合センター編集部(運営:株式会社M&A Do)。本記事は承継時の確認手順を整理した一般的な解説です。
譲渡相談では、住居ごとの夜間支援・契約・設備と未確認の継続条件を整理できます。支援内容・費用の範囲は当センターの案内でご確認ください。
