障害福祉事業の売上を確認するときは、請求額だけでなく、どのサービス月の提供が審査・支払まで進んでいるかを追います。返戻の再請求や過誤の調整が複数月にまたがると、会計上の売上と口座入金の差が見えにくくなります。
返戻があるだけで不適正な請求や売却不可とは決まりません。理由、再請求の状況、未解決の金額、再発を防ぐ確認手順を記録し、買い手へ説明できる状態にすることが目的です。返還・責任の範囲は個別資料と行政・専門家の確認に基づいて判断します。
請求月ではなくサービス提供月を軸にする
国保連の請求・支払関係資料、請求ソフトの出力、総勘定元帳、入金明細を用意します。同じサービス提供月の当初請求、返戻、修正、再請求、支払結果を関連付け、売上計上の方法を経理担当に確認します。入金月だけで並べると、前月以前の修正が当月の増収に見える場合があります。
返戻と過誤は処理の段階を分けて記録します。誰がどの資料を確認して修正したか、次の処理がいつ予定されているかを一覧に残してください。申立て先、提出期限、再請求と調整の方法は、該当する市町村・国保連合会の最新の案内と請求ソフトの対応を照合します。
未解決の請求を台帳で引き継ぐ
表は横にスクロールできます。
| 記録する項目 | 資料 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| サービス月・事業所番号 | 提供実績、請求データ | 承継前後の番号・請求主体の区切り |
| 当初請求と審査結果 | 審査・支払関係の通知 | 請求額をそのまま入金予定としない |
| 返戻・再請求 | 理由コード、修正履歴、再送結果 | 担当者の口頭説明だけで解決済みにしない |
| 過誤等の調整 | 申立て控え、調整結果、入金明細 | 未処理金額と会計上の反映の違い |
台帳では個人を識別できる情報を必要最小限にし、調査用の匿名集計と実務用の詳細記録を分けます。残件を一つずつ追える台帳があれば、売上の照合と承継後の作業分担を同じ根拠で説明できます。
原因ごとに対応と再発確認を分ける
入力・登録情報の不一致、提供実績との相違、加算届や算定根拠の確認、自治体との照会など、返戻等の理由を分類します。同じ理由が毎月出ているなら、送信前点検や登録更新の担当に問題が残っていないかを確認します。原因を整理せず単に再送回数を数えても、調査の結論は得られません。
指定・人員・支援記録と関係する請求は、事務担当だけで完了させず、管理者や算定根拠の責任者と照合します。調整見込み額が不確定な場合は確定額・仮集計・照会中を区分し、譲渡価格にどこまで反映するかを契約担当と協議します。未確定の返還額を独自に確定して表示しないことも重要です。
承継後に誰が再請求するかを決める
取引方式に応じて、事業所番号、請求権限、電子証明書、請求ソフト契約、銀行口座と支払通知の閲覧権限を確認します。現担当者の個人アカウントを引き継ぐだけで済ませず、所管窓口・提供会社へ必要な変更手続きを照会します。
承継前サービス分の調整を誰が行い、入金・費用をどう精算するかを明記します。引継ぎ後の最初の締切には、新担当がテスト環境や操作手順を確認し、送信結果を旧担当と照合できる時間を設けます。実データを使う操作や送信は権限と期限を確認して行ってください。
よくある質問
Q. 返戻があれば売却価格は必ず下がりますか。
A. 一律には決まりません。金額、理由、解決見込み、対応工数と再発状況を整理し、買い手が継続収益と運営負担を評価できるようにします。
Q. 前の請求担当者が辞める場合、何を優先しますか。
A. 未解決台帳、送信結果の確認方法、窓口・ソフト会社の連絡先、権限変更の手順を確保し、次の締切を誰が担当するか決めます。
制度・手続きの確認資料
制度資料の確認日:2026年10月5日。以下は所管機関の公表資料です。個別事業所の適用、必要書類、受付日程は所在地の指定権者等へ照合してください。
編集責任:障害福祉M&A総合センター編集部(運営:株式会社M&A Do)。本記事は承継時の確認手順を整理した一般的な解説です。
譲渡相談では、未解決の返戻・過誤と、承継日前後の請求作業の分担を整理できます。支援内容・費用の範囲は当センターの案内でご確認ください。
