多機能型事業所のM&Aでは、同じ場所で複数サービスを提供していても、全てを一つの売上・職員数で評価しないことが重要です。指定、利用者の実績、人員、加算、請求と費用の関係をサービスごとに読む必要があります。
多機能型として適用される特例等がある場合も、名称だけで要件を満たすとは判断できません。実際の併設サービスと届出、兼務・設備の使い方を指定権者に照合するための調査手順を整理します。
指定と実際のサービスの対応表を作る
指定通知書、更新・変更届、サービス種別、事業所番号、定員、運営規程を並べます。実際の利用者・提供実績・請求がどの指定に属するかを対応付け、停止・変更した事業が資料に残っていないかを確認します。取引に含めるサービスと除くサービスも明示してください。
取引方式と対象範囲によって必要な指定・届出の確認は変わります。一部のサービスだけを譲る場合は、残るサービスが現在と同じ配置・設備・共通業務で運営できるかを検討します。指定や特例をセットの資産として自動的に移せるとは説明しません。
兼務と共通費用の根拠を残す
表は横にスクロールできます。
| 対象 | 資料 | 読み分ける内容 |
|---|---|---|
| 利用・請求 | サービス別提供実績、請求・入金 | サービス間の重複、実績と請求の対応 |
| 職員の兼務 | 勤務形態一覧、実績シフト、業務分担 | 時間の二重計上、適用条件と実際の配置 |
| 共通設備 | 図面、使用予定、点検・賃貸借 | 設備の共用条件と同時間帯の利用 |
| 費用配賦 | 部門損益、給与・家賃等の配賦表 | 基準、変更理由、一部譲渡後の残存費用 |
配賦には売上比率、使用面積、勤務時間などの前提を記録し、どの費用にどの基準を使ったかを説明します。比較のために配賦方法を変えた場合は、変更後の利益だけでなく元の数値も残してください。恣意的に赤字部門を黒字に見せる整理は避けます。
一部サービスを外すと何が変わるか
一部譲渡では、共通の管理者・責任者、送迎、請求、受付、賃貸物件の使用条件を点検します。買い手が対象部門だけを引き継ぐと、売り手側の共通費用や残る職員の業務が変わる可能性があります。双方の運営図を作り、取引後に必要となる外注・採用・場所の費用を整理します。
法人全体が黒字でも、特定部門の利用減少や加算条件の変化が隠れている場合があります。サービス別の月次実績と共通費用を並べ、単発収入、臨時費用、代表者の無償業務を区分します。全体利益を各部門へ同じ割合で配るだけでは、継続性を判断できません。
同じ開始日に全サービスを点検する
承継工程は指定・人員・設備・契約・請求をサービス別に管理します。その上で、共通担当と各サービスの責任者が同じ開始日を前提に手続きを確認します。未完了事項を全体の『準備完了』に埋めず、対象サービスと期限を明記します。
承継初月には勤務実績、設備利用、提供と請求、共通費用の配賦を点検します。実際の兼務が予定と違う場合は、人員・報酬条件の確認と費用見直しをそれぞれ行い、単なる会計修正で運営上の問題が解決したとは扱わないようにします。
よくある質問
Q. 一つの事業所番号なら一括して評価できますか。
A. 対象サービス、指定・届出、配置・請求を確認してください。番号や施設名だけで運営条件が同一とは判断できません。
Q. 共通費用の配賦方法が未整備でも相談できますか。
A. 可能です。給与、家賃、送迎等の資料と現場の分担を整理し、説明可能な基準を作るところから検討します。
制度・手続きの確認資料
制度資料の確認日:2026年10月5日。以下は所管機関の公表資料です。個別事業所の適用、必要書類、受付日程は所在地の指定権者等へ照合してください。
編集責任:障害福祉M&A総合センター編集部(運営:株式会社M&A Do)。本記事は承継時の確認手順を整理した一般的な解説です。
譲渡相談では、多機能型の指定・兼務・部門損益と一部譲渡後の共通業務を整理できます。支援内容・費用の範囲は当センターの案内でご確認ください。
